みなさん民泊をご存じでしょうか?
ざっくり言うと
「自分の家をこちらの設定した値段で、他人に宿として利用してもらうこと」です。
しかし、なぜ今になってそのような状況が生まれたのでしょうか。
というのもアベノミクスの効果により円安が進み、元々人気のあった日本への海外旅行者が増加しました。
それによって宿泊者も増加し、既存の宿泊施設だけでは対応しきれなくなってしまいました。そこで宿泊できない旅行者への救済措置的な意味合いで民泊というものが生まれたようです。
また、海外旅行者向けのサービス「airbnb」が貸し手と借り手のつなぎ役として誕生し、手続きを簡単にしてくれたことも相まって民泊希望者が増大。
やがてビジネスとして収益を得ようとする方々が増えたわけです。
国としても東京オリンピック開催が決まり、観光立国化しようとしている最中なので、宿泊施設が不足するというのはあまりよろしくないと感じたのでしょう。
法的にも緩和していく方向で話が進められていきました。
ビジネスとして儲かるものなのか?
少し前に実際に運営をしていた経験から先に結論をお話しをさせていただくと
「場所によっては結構収益を得られただろうと推察されるが、それも一昔前までの話」
といったところでしょうか。
場所というのは立地のことで、東京都23区内かつ主要地域(新宿・渋谷・上野)あたりの駅徒歩圏内であれば、十分な収益を得る事も可能だったであろうと思います。
そのあたりにやや広めの区分マンションを持っていらっしゃる方ならあるいは今から参入してもプラスで回せるかもしれません。
Airbnbを介しての面倒な手続き(英語対応・現地案内等)は専門の代行会社が無数にありますので、月の収益に対して10~20%程度の費用を支払うことで請け負ってもらえます。
通常の賃貸では月々に徴収できる家賃に限界があります。
しかし民泊の場合は、こちらの決めた価格設定でいけますし、毎月ほぼ満室の状況を作り出すことができれば、諸々の費用を差し引いても通常の賃貸相場の2倍、3倍以上の収益を出すことも不可能ではないと思います。
うまい話ばかりではなくデメリットもあります。
当然リターンに対してリスクはつきものですよね。
民泊にもリスクはあります。数え上げるとキリがありませんが、おおまかに自分の感覚でいうと
①宿泊者のトラブル
②マンションの管理規約
③法的な問題
④予約が埋まらず赤字
⑤代行会社がずさん
といったところでしょうか。
まず①の宿泊者のトラブルについてですが、そもそも日本とは文化の違う国で生まれた方々を泊めるわけですから、同じような尺度であてはめようとするのは無理でした。
「夜中まで周りがうるさいから」と勝手に出て行ってしまった挙句、宿泊料金を返してくれとか、逆に夜中までパーティーをして近隣の迷惑になってしまったとか、チェックアウト後に備品が見当たらなくなっていたりとか・・それはそれは色々ありました。
②のマンションの管理規約については、民泊の流れが一気に加速したところで上述した海外旅行者のマナーが問題になってきてしまい、マンション全体の規約として「民泊は禁止」とされてしまうとどうにもならなくなってしまうというリスクがあります。
③の法的な問題というのは、当時国も旅館業として民泊を完全に認めていたわけではなかったので、申請をせず大々的にやってしまった方々が目をつけられ逮捕されてしまうという事案が発生しました。
相当な収益を得ていたようですが、そこまでがっつりやるのであれば、ホテル同様にしっかりと段階を踏んで国から許可を得る必要があったという事です。
④の予約が埋まらず赤字というのは、単純に立地が悪い為に集客できず、準備にかかったコストや毎月のランニングコストを回収できないといったリスクです。
⑤の代行会社がずさんというのは言葉の通りです。
委託できる会社が無数にあるため、当たり外れもあります。
ちなみに私の場合は、英語対応してもらうも毎回対応してくれた人が違っていたからか英語のレベルに差があり、返信が遅れて次々に予約を逃していたり、宿泊者からの問い合わせに対応できないというなかなかのダメっぷりでした・・。
(再三指摘+代表者に直訴してもなおりませんでした、この会社は即消えるだろうな という予感しかしませんでした)
やり方としてはどのような流れなのか
始めるにあたってはそこまで難しくはありませんが、色々と経費がかかります。
Airbnbを利用した私のやり方としては、まず部屋をホテル仕様に変えなければならない為
・ソファーベッド
・テーブル
・PC
・キッチン用品
・テレビ
・インターネット回線
・アメニティ各種
などなどそれぞれ調達して、なおかつ随時補充しておかなければなりません。
Airbnbに登録後し、部屋の準備が整ったら、次はリスティングという形で部屋の詳細情報を作成します。(ここで他者からより魅力的に見えるような工夫が必要になります)
その後部屋を公開したら宿泊希望者を待ちます。
事前問い合わせ等に対応し、いざ宿泊予約が入れば収益発生という流れです。
(利用料は先払いで自分の口座に入るのは宿泊中でした)
なおAirbnbには「レビュー」というものがあり、泊めた側と泊まった側でそれぞれ評価をします。
そのレビューの数が大きなステータスとなり、泊めた側が高評価でレビュー数が多ければ、予約も当然ながら多く入ってくるような仕組みになっています。
実際に部屋を提供する側として体験してみて・・
ちょこちょこと体験談を交えて書いていますが、結局私は都内駅近郊で運営開始したものの、早々に撤退をいたしました。
初期費用とあわせるとなかなかの損失を出しましたが、高い勉強代と思うしかありません。
撤退の理由としては、苦労に見合っていませんでしたし、閑散期(冬)などもあり思ったほど人が入らなかった。そして何より先が見えなかったからです。
東京オリンピックが控えているとはいえ、これまで専売特許としてきたホテル関連業の方々も部屋数を増やすなど対策をしてきましたし、ライバルも次々と増加しました。
その結果、宿泊料を下げるなど競争が激化し、うまみは減っていく一方です。
今から始められる方にもチャンスはないとは言えませんが、やはり前ほど収益は出なくなっていることは事実です、真っ赤な海です。
(というより今も果たしてそういったことはOKなのか?それすら謎です)
もし今にも始めようとしている場合には、あらゆる状況を想定し、十分に検討を重ねて決断してもらえればと思います。