企業で働いていると研修を受ける機会があるかと思います。
働きながら研修することはスキルアップには欠かせない要素ですね。
また,社内研修だと,社員が研修を企画して他の社員に研修会という形で実施することもあるかと思います。
私も年齢的には中間層になってきまして,新入社員の研修を企画・運営する機会などが非常に多いです。
しかし,毎回どのような研修をしたら,効果的なのか悩んでおります。
そんな数多くの研修を企画している私なりの解決方法を記してみました。
まずは研修の目的を明確にする
やはり何事もそうですが,目的を明確にすることが大事です。
この研修を通して「どこを学んでどうなってほしいのか」
という柱をしっかり立てて考えなければ,せっかく研修を開いても企画する側,研修を受ける側ともに時間の無駄になってしまいます。
そういった事がないように,ゴール地点をしっかり決めた後に逆算して連想するようにしています。
例を挙げますと・・
「Aという仕事内容について理解してほしい」がゴール地点
↓
Aをとにかくわかりやすく知ってもらう必要がある。
↓
パワーポイントを使用した方が視覚的にも効果が大きそう。
難しい重要な部分は1枚1枚大きく使う。
↓
ただ聞いているだけでは,退屈だろうからロールプレイを取り入れてみる。
↓
講義の時間が○分。ロールプレイの部分が○分。で設定。
↓
研修時間は合計△分で実施する
・・・といった形です。
逆から考えていった方が,次の動きがわかりやすい気がするんですよね。
思案途中でさらに良いアイデアが浮かべばさらに盛り込んで,内容を厚くしていく感じです。
研修内容はどのように考えたらよいか
研修とは言っても企業によって内容は様々です。
実務的なものもあるでしょうし,マネジメントの研修だったり,メンタルヘルスを考えた研修などもあります。
企画する場合にはどのような内容を検討していけばよいのでしょうか。
実務的な内容であれば,企業のマニュアルやガイドブックに沿ってある程度は進められるので,特に問題はないかと思います。
(とはいってもただなぞるだけでは聞く側は退屈の極みですが・・)
講師を招待できるのであれば,テーマだけ講師に伝えておけばそれを基に講義してくれますから,比較的楽かと思います。
あとは良い講師選びとコスト(依頼料)の問題だけですね。
実務的でもなく講師を招待することもできない場合・・これが一番大変なパターンですね。
全て自分で考えなければいけないので,非常に時間と労力がかかります。
そういった時は「オズボーンのチェックリスト」を使いましょう。
オズボーンのチェックリストとは多面的に考えることで,思いも寄らないアイディアを生み出すことが出来るという手法です。
① 転用:他の使い道
他の利用法はないか
他の分野で使ったら
別の目的で使ったら
② 応用:他のアイデアを利用
似た商品を真似てみる
似た人を真似てみる
他分野ではどうしているか
③ 変更:変えてみる
動きを変えてみたらどうか
価値を変えてみたらどうか
強みを変えてみたらどうか
デザインを変えてみたらどうか
④ 拡大:大きくしてみる
長くしたらどうか
高くしたらどうか
重くしたらどうか
回数を増やしたらどうか
目的を広げたらどうか
ユーザを広げたらどうか
⑤ 縮小:小さくしてみる
小さくしたらどうか
軽くしたらどうか
回数を減らしたらどうか
目的を狭めたらどうか
ムダを削ったらどうか
⑥ 代用:他に代える
他の物で代用したらどうか
他の製法で代用したらどうか
仕事中に使えないかどうか
あえて偽物にしたらどうか
⑦ 置換:アレンジ
配置を入替えたらどうか
時間を入替えたらどうか
パターンを入替えたらどうか
レイアウトを入替えたらどうか
方法を入替えたらどうか
⑧ 逆転:逆にする
原因と結果を逆にしたらどうか
前後上下左右を逆にしたらどうか
弱みを強みにしたらどうか
ひっくり返してみたらどうか
⑨ 結合:組み合わせてみる
他の何かと組み合わせたらどうか
逆のもの・似たものと組み合わせるとどうか
セットにしたらどうか
ブレンドしてつくったらどうか
↑詳しく知りたい方はネット検索してみてください
この9つの視点からアイディアを生み出すというものです。
これだけあれば何かしら考えつきそうですよね,オズボーンさんさすがです。
研修を企画・運営するにあたって心がけていること
・ひとりよがりな研修はしない
講義形式で自分がおこなうとなった時に,ついつい自分の語りたいことをピックアップして延々としゃべってしまう自己満足パターンがあります。
話し手と聞き手の意図がズレてしまっては意味がありませんので,テーマに沿った研修となるように心がける必要があります。
・資料を読むだけの一方的なつまらない研修をしない
研修といえば資料が用意されるのが通常ですが,その文字を読んでいるだけでは非常に効果が薄いように思います。
資料を読むこと自体は別に講師がいなくてもできますし,研修会という機会を設ける必要もないですから・・そうならないようにせめて中身を要約するなどして,何かしら工夫する必要がありますね。
・テーマから脱線したまま終わらないようにする
難しい内容をおもしろくする為に,少し研修から外して雑談をするのは良いのですが,そのまま戻ってこれずに終わってしまっては座談会になってしまいます。
研修として学んで終わってもらうためにも,軸のぶれない会話を意識します。
・視覚的に魅せ・受講者参加型の研修を
学校の実習授業もそうですが,面白いものほど記憶に残りやすいものです。
充実した研修会と思ってもらえるようには,飽きさせない努力が必要です。
そのためには興味を引く図を用いたり,聞き手も参加できるような配慮が必要になります。
パワーポイントはその中でも効果的な資料です,できれば動きが付けられると良いですね。
・最悪を想定して研修に臨む
研修用の突然データが消えてしまった。→紙媒体で印刷しておく
使用するPCが起動しない。→サブのPCを用意しておく
スタッフが当日誰もこれなくなった。→あらかじめ代役を頼んでおく
などなど実際に起こる可能性は高くはありませんが,常に最悪を想定して対策をすることは重要なことです。
何があっても慌てることのないよう万全の準備で研修会に臨んでください。
せっかくの研修を充実したものに
というわけで色々と記してきましたが,やはり1番は
受講する側と運営する側ともに学べる機会であるべき。
というのが私の最も意識している部分です。
相手にその事柄を伝えるためには,話す側はさらに理解を深める必要がありますし,人の前に立って話すスキルを磨いたり,人を動かす術を学んだり・・
研修会の運営には勉強になることがたくさんあります。
そういった部分を若いうちから吸収していくと数年後同期とは大きく差が付くと思います。
(ビジネス・能力関係の記事はこちら)
もし研修のチーフなどを任された場合には,良い機会と捉えて前向きに事に当たっていただきたいと思います。
「良い研修だった」と言われるのが,苦労が報われる瞬間です。